塗装職人の多くの人たちが独立をしている。その大半が20代後半~30代前半だ。
しかし、独立してもうまくいかない。安易な考えで儲かると思っていたのに。
むしろ、使われていた方が、よっぽど良かった。と思っている人たちは多くいるはずだ。
これは塗装職人に限ったことではない。飲食や物販なども同様だ。
さらにはトップセールスマンが独立しても失敗してしまう。
われわれの業界では、一昔前にある会社の訪問販売が一気に独立した時期があった。
その結果何が起きたか?その営業マン達の殆どが自己破産をし、家族を失ったのだ。
ここに共通することがある。
それは、どの業種にしても、個人の成長が止まったからなのだ。
例えば、30歳の職人と60歳の職人ではスピードはどのくらい違うのか?
スピードだけでいえば、30歳の方が早い。生産性だけで言えば、30歳の方が断然使えるのだ。
これは、飲食、物販、営業職でも同じことが言えるだろう。
プレーヤーとしては、若い人間には勝てない。
では、大手企業はなぜ、50代以上の人間が活躍できるのか?
それはその時に合った成長を遂げているからだ。
企業の仕組みは簡単に言うとこうだ。
プレイヤー→プレイングマネージャー→マネージャー
大きく分けても3段階の階層がある。
30歳~35歳までがおおよそプレイヤー
40歳~45歳がプレイングマネージャー
それ以降がマネージャー
とその年齢により成長する方向性が変わってくる。
どんなに優秀なプレイヤーでも60歳までトップを走ることは出来ない。
プレイヤーのピークは30代から40代にかけてだろう。
しかし、独立している人間の殆どは、プレイヤーの経験しかなく独立をする。
当然だが、うまくいくはずがない。
その結果なにが起こっているか?
職人たちは大手の使い捨てになっているのだ。
それは先日、リフォーム産業新聞に取り上げられていた記事に書いてあった。
成長が止まったプレイヤーは、正直大手からすれば使い物にならない。
だから、良いように使ってゴミのように捨てる。
ケガをしようが病気になろうが、関係ない。労災を使わすことが出来ない仕組み。
これが今の大手のやり方だ。
これはどちらが悪いのか?
最初記事を見たときは、大手のやり方が良くないと感じた。
しかし、大手の気持ちもわかる。
プレイヤーで成長が止まっている人間は、人間が歪んでくる。
自分では凄いと思っているが、周りはそれほどの評価をしない。
そうなると、考え方が歪み駆け引きなどを覚える。
そうなると、企業の方もまともに相手をしたくないのも分かる。
だから力でねじ伏せ、使い捨てが行われるのだ。
しかし、それは最悪なことなのだ。
なぜなら、良い職人が育たない。
さらには、お客さんに良いものを提供できないからだ。
ではどうすればよいのか?
職人などの技術者は基本的には経営は難しい。
であれば、企業がしっかり技術者をバックアップする必要がある。
それは、プレイヤーの上にはプレイングマネージャーがあること。
その上にはマネージャー。その仕組みを確立し、50代、60代の職人が生き生きと
働く姿を見せ、成長はどこまで行っても止まらないことを示さなければならない。
企業の役目は、社員を幸せにすること。
間違っても成長が止まるような独立をさせてはいけないのだ。