気付き

先週の水曜日、定休日に私は会社に仕事をしに来ていました。

その日、同級生の経営者から電話があり、「おまえのところは震災の影響で仕事のほうはどうだ?」

と聞かれたので、「うちは問題なくやってるよ」と言うと、

彼は、肩を落とした声で「そうか」とつぶやきました。

話を聞いてみると、仕事の受注がなく、困っているとのこと。

1,2年前は、景気がよく、私から見ても、「金使いがあらいな~」と見ていました。

そんな彼の悩みでしたので、「だったら、うちの会社に遊びに来たら」と話し、その日彼の奥さんと一緒に

会社に来ました。

私は、彼の問題点やり方を率直に話すより、うちの会社はどのようなことをし、さらにどのような社員教育を

しているか話をしました。

そのうちに彼が気付いたことは、自分自身の「在り方」だったのです。

「多分、今までのお客さんも、アフターが無いって怒っている人もいるかもな。俺は小工事のお客には

どうしたら、会わないかとか、どうやらないように切り抜けようか考えていた。おまえの話を聞いて、

俺は胸が痛いよ。」

と言っていました。そうです。彼はおいしい工事以外はやらない業者で、しかもなぜ儲かっていたのか、

なぜ儲からなくなったのか、全く分からなかったのです。

経営というものを、全く理解せず、事業を行っていました。私は彼が事業を始めるときから、それに気付いて

いまいした。しかし、何も言わなかった。なぜなら、儲かっているときに何を言っても聞く耳を持たないのが

分かっていたから。今回彼にとって、大きな気付きとなれば、非常にうれしい。

本当に必要な工事って?

先日、ラジオ番組でお世話になった、パーソナリティーの槇さんから、電話をもらいました。

ラジオではいつも槇さんのリードで話をしているのですが、アドリブ力と、とっさに出てくる対応性に

頭の良さを感じていました。

いつも明るくスタジオに迎えて頂いて、安心してラジオでのトークが出来たのを覚えています。

そんな、槇さんから突然の電話で「何かな~」と思って聞いてみると、あの東日本大震災の影響で瓦が落ちた

というのです。さらに聞いてみると、応急処置して頂いた業者がいつになっても工事に来なく、ブルーシートを

張りっ放しにしたままで、そのシートが風にあおられ、飛んでしまったというのです。

その飛んだ、シートを近くで工事をしていた業者が拾い、もう1度シートを張り直してくれたのですが、

この業者が、屋根の葺き替えを提案してきたそうです。槇さんのお家は瓦屋根で、基本的にはメンテナンスが

必要ありません。(10年に1度くらいは漆喰を見る必要がありますが、大きな工事ではありません)

業者さんの話だと、「防水シートが破れているから、雨漏りがするのでは?さらに瓦だと重いので

今回のような地震があると家が潰れてしまうという」とのこと。

さらにこのように言ったそうです。「近くで工事をしているから、〇日までに、返事をして頂ければ、

足場の移動が少なくて済むので安くします」と。

私は心の中で、「槇さんそれはラジオでやったじゃーん!!足場トークだよ!!」て突っ込みながらも、

実際その状況になってみると、お得感や緊急を感じてしまうものなんだろうと思い、言葉にはしませんでした。

(後でご本人がラジオでやったよねって言っていましたけど。笑)

その後、私も見に行きましたが、正直瓦の屋根を吹き替える必要は無いように思えました。

見に行く前にも、専門である屋根屋さんとも話をしたのですが、「瓦を交換するのはもったいないよ」

と言っていましたし、大工さんも同意見でした。

確かに、瓦は重いのでその分家に負担はかかります。しかし、葺き替えをする予算があれば、

耐震を見たほうがよいのでは?と思ってしまいました。

もちろん、これはどちらが正解とは言えないと思います。屋根としての防水性、耐久性を考えれば

瓦ですし、家への負担を考えたら、ガルバニュームです。

ただ、私が1番大事にしたいのが、「在り方」だったのです。

最終的には、「槇さんの良いほうに決めてほしい」と言いました。

だって、槇さんの価値が耐久性なのか家の負担なのか分からなかったから。

槇さんの価値を大事にしたいと思ったからです。

でも、ガルバニュームを提案した業者は、

そこではなくお得感や緊急性をアピールして高額な工事に取り付けようとしていました。

なんか、自分たち(業者)のための工事を提案しているようで、良い業者には思えなかった。

私は、ラジオで共演させて頂き、そのことで私を覚えて連絡をくれた、槇さんの役に立ちたいと思った。

連絡をもらって嬉しかったから、真摯に対応したいと思った。

どんなに、価格が安い商品や工事だとしても、必要のないものは、売りたくない。

どんなに、価格が高い商品や工事だったとしても、その人にとって、必要なものを売っていきたい。

それが、本当の人の在り方だと私は思うから。