先日、ラジオでもお話したのですが、肯定的な言葉は相手を変化させます。
しかし、もっと重要なこと、それは自分自身が変化することなのです。
私たちの中では有名な話ですが、臨床心理士の堀之内高久先生が教え子と待ち合わせしていたときのこと。
教え子「先生、すいません。新幹線乗り遅れたので30分遅刻ます。」
堀之内先生「待つ僕よりも、待たせる君の方が辛いでしょ。だからゆっくりおいで。」
このように、言われたらどういう気持ちになりますか?
きっと、教え子は怒られなかったという、安堵感ももちろんあったと思います。
しかし、その後、こんな風に思ったのでは。
なんて寛大な人なんだろう。私のことまで気にかけてくれて。
この方を2度と待たせてしまってはいけないと。
大きな気付きが生まれたはずです。そして気付きは行動を変えます。
相手の心に気付きを与えることで、無意識が活性化され、行動が変わっていくのです。
しかし、それだけではありません。
この堀之内先生は相手に変化を与えるために言葉をかけたわけではないのです。
これが素なのです。
例えば、社員が「彼女と別れたので1週間会社を休みます。」
と言ったら、どういった言葉が出ますか?
「情けない奴だな。そんなことで1週間も休む奴がどこにいる」
と言いたくなってしまわないですか?
90%「情けない奴」と思うでしょう。しかし10%くらいは「気持ちも分からないでもない」
という想いがあったら、その気持ちを言葉にすることで増幅していきます。
そうすることで、10%しかなかった気持ちが90%くらいになり、相手に共感することが出来るのです。
人間は分かっていても、感情が高ぶると、ねぎらいや共感が出来ません。
言葉を発することは、うわべでは言えないのです。
となると、言葉を発することで自分自身が肯定的な見方がどんどん出来るようになり、
器の大きな人間になっていきます。
そうなると、無意識で周りを変化させていきます。もちろん良い方向に。
堀之内先生は若いころ、病院に勤めていたとき、堀之内先生が夜勤の登板の時に限り、
お年寄りの方が亡くなっていくそうです。
当時、堀之内先生はそのことを悩んでいたそうですが、
それは、いつも温かい言葉をかけてくれる堀之内先生の登板の時に、
お年寄りの方たちは安心して亡くなられたとその後分かったそうです。
言葉を使うことは、周り、さらには自分自身を変化させます。
意識して使ってみてください。