先日、知り合いの女性と話をしているとこんなことを言っていた。
彼女は、老人ホームの厨房で働いている。
「お年寄りは、食道が弱っているから食事を作るのが大変なの。
先日もスイカを出すのに、種を全部取って出してあげたのよ。」
と彼女は笑顔で話していた。
私以外にもう1人いた男が心無いことを言う。
「だったら、スイカなんか出さなきゃいいじゃん」
笑顔だった彼女の顔がくもり、
「だって、季節のもの食べてもらいたいじゃない」
私は、彼女の表情をずっと見ていた。
言葉では大変な話をしているが表情は笑顔だったのだ。
これは心理学でキャリブレーションといい、言葉とそれ以外の五感が一致していない状態を言う。
私は彼女に
「楽しそうだね。」
というと、
「そうなの、楽しいの。」
と言葉が返ってきた。
心の無い隣の男は、意味がわかっていない。
言葉で大変だと言っていたのに、楽しいと彼女が言いだしたのだ。
私はそれを説明するように話をした。
「彼女はきっと、おじいさんやおばあさんに、感謝やねぎらいの言葉をかけられているんだよ。
ありがとうとかスイカ食べられて嬉しいとかね。」
というと彼女が
「そうなの。ありがとうって言われるの」
と満面の笑みで応えてくれた。
感謝やねぎらいを言うことで他人が幸せになるということは、
頭で分かっていた。
しかし、彼女の笑顔を見てこれほどまでに幸福な気持ちになれることを
目の当たりにした。
自分は社員にねぎらいや感謝の言葉をかけていなかったな~と反省。
気持ちがあっても、なかなか言葉に出来ないものだ。
少し意識して、ねぎらえる自分になろう。